思春期シュガースター
スターになる未来
『先輩、今日も遅くまで図書室開けていられますよ!』
『いえ、あたしがしたかっただけ、なので。先輩の役に立てて嬉しいです』
『え⁈ なんでってそんなの……そん、な、────』
「うわぁあああ言えない!
こんなこっぱずかしいセリフ!
死ぬ!」
台本を床に叩きつけた金原さんの姿に、僕は思わずふっと笑った。
だって、彼女と放課後に練習を始めて1週間。
ずっとこの調子なんだ。
友だちと話しているシーンなんかは普通に演技できるのに、少しでも恋愛要素が入ってくるとこれだ。
恋愛アレルギーかなにかかと思ってしまうような態度に、初めは唖然としたけど、今じゃただ面白いだけ。
反応も怒ったり逃げたりと、真っ赤になってバリエーション豊か。
「金原さん、ここまだそんなに大したシーンじゃないよ」
「あたしからしたら十分大したシーンだよ!」
「えー?」