思春期シュガースター
「先輩だったら、どんな風に演じるのかなぁ」
ぽつり、と零された言葉。
彼女はもう、相手役を先輩だと置き換えて考えてしまうほど、彼を意識しているんだろうか。
……うん。
女役を想像するはずもないし、きっとそうなんだろう。
「さあ?」と軽く流すことなどできず、話題を変えるために僕は彼女に問いを投げかける。
「この台本を書いた人って、顧問の先生じゃなくて部員のひとりなんだよね?」
「え、うん。
そうだけど、どうかした?」
一通り騒いで落ち着いたのか、金原さんが普通に返事を返してくれる。
「いや、3年生を見送るための劇に金平糖を使うなんて素敵だなって」
どうして? と金原さんは不思議そう。
首を傾げた拍子に、彼女のサイドテールがふわりと揺れた。
「金平糖って砂糖で出来た星みたいだろう?」
「うん」
「だから『きらめく未来を』という意味で、旅立つ人に対する贈り物として最適なんだよ」
「へー、そうなんだ!」