思春期シュガースター




困惑する僕を笑って、金原さんは僕の前を歩く。

慌てて揺れる髪を追いかける。



「どうしてこっちに?」



首を傾げつつ尋ねれば、金原さんはよくぞ訊いてくれましたと言わんばかりの表情で胸を張る。



「あたしね、藤田と同じ小学校だった子から聞いたの!」

「えっと、なにを?」

「そっちの校区にある駄菓子屋さんには金平糖が売ってるって!」



うちの中学校は、複数の小学校の寄せ集め。

一応校区外の駄菓子屋だし、今まで金平糖なんて意識していなかったから金原さんは知らなかったんだろう。



カラフルな金平糖が並んだ一角は愛らしく、男の僕でも少し心惹かれてしまう。

実際、おいしいしね。



黙ったままだった僕になにを思ったのか、金原さんが不安げに眉を寄せる。



「藤田は寄り道とか、嫌だよね。
いつも真面目にしてるもん。
校則違反なんてしたくないのに、気づかなくってごめん!」






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