思春期シュガースター
たわいもない、だけど胸が弾むような会話をしていると、
「あ、ここだよね?」
見慣れた通学路の小さな駄菓子屋。
昔ながらのシャッターを開け閉めする形の店内には、幼い頃眩しく輝いていたお菓子がずらりと並んでいる。
きなこ棒、色の変わる飴、スルメ、小さなガム、5円チョコ。
もちろん、くじだって種類が豊富。
子どもの頃とは少し変わってしまったラインナップの中に、自分が好んで食べていたものを見かけて頬が緩む。
「いらっしゃい」
奥の部屋からひょっこり顔を出したおばあちゃん。
この駄菓子屋の店主だ。
「あらあら、久しぶりのお客さんだこと」
目尻の優しい皺が深くなる。
あったかい、独特の雰囲気。
名は知らずとも、おばあちゃんは子どもたちみんなのことを覚えてくれていて。
ずいぶん長い間来ていなかった僕にも微笑んでくれるんだ。
ぺこりと頭を下げて、千菜さんを促す。
こして立つのは金平糖が置いてある一角。
ピンク、黄色、水色、紫。
パステルカラーの珍しい金平糖が入った小瓶が慎ましく、しとやかに並んでいる。
金原さんは笑みを零しながら、抱き締めるように小瓶を手にした。