思春期シュガースター




ギリッと唇を噛み締める。

血が滲みそうなほどの力に、思わず涙が滲みそうになるも、眉間に皺を刻みつつ堪える。



これだから、嫌いなんだ。



こうやって僕を嘲笑うやつらも、どこかで幸せそうにしているやつも、みんな。

みんな大嫌いだ。



思い切って開けてしまおうと思って扉に手をかけると、中からよく通る声。



「あたし、そういう陰口嫌い」



これは、教室で話していたグループの中心にいる女子。

確か、金原さん……だったかな。



凛と響いて、周りのやつらが黙ったのがわかった。



「藤田のいいところを見ようともしないで、勝手に決めつけんのやめなよ」



彼女が僕のいいところなんて見つけているとは到底思えなかったけど、それでも彼女が口にしたその言葉に僕はとても驚いた。



だって、「そうだね」と曖昧に笑って誤魔化すこともできたのに。

多くの人がそうやって空気を読んで生きているのに。



なんてばかな人なんだろう。

なんて、素直な人なんだろう。






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