思春期シュガースター




君はスターに焦がれていた。

だけど僕にとっては、ずっと前からスターだった。



君は僕の、シュガースターだ。



大きく息を吸う。

そうしてようやく、僕は息を詰めていたことに気づいた。



「ごめんね」



聞こえるはずがないことを知っていながらも、ぽつりと零す。



君の恋が叶うことを、君の幸せを望むことができない僕で、ごめん。



千菜さんが誰かの隣で笑って、はしゃいで、好きだと言って。

そんなの、想像だけでも耐えられないくらい苦しいんだ。



だけど、僕は君みたいになりたい。

本当の気持ちでぶつかっていきたいよ。



だって、僕のこの焦げつきそうなほどの想いは、ただの憧れじゃない。

恋だから。



彼女の先輩には敵わない。

それは今も変わらないし、僕はなにも成長できていないけど。

それでも、もう「どう頑張ったって」なんて言いたくない。



頑張る人はかっこいいと言った彼女の理想になりたいから。



だから僕はもう、逃げない。

彼女から、彼女への想いから。






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