思春期シュガースター
彼女の言葉に戸惑って、僕はひとり困惑する。
「藤田は知らない?
あたし、演劇部なんだよ。
そんで2月には3年生を送る会で舞台もあるんだーっ」
ああ、なるほど。
そういうことか。
確かに彼女は演劇部。
1年生の頃から頑張っているみたいで、何度か役ももらっていた。
部活モノや爽やかな友情を感じる作品に、がっつりファンタジー。
今まで見てきた発表は色々なジャンルのものだったけど、金原さんが出ていたもので恋愛をメインにしたものはなかった。
たまに恋愛要素のある作品に出ていても、彼女とラブシーンの関わりは皆無だったしね。
「事情はわかったけど、でもなんで次にこだわるの?」
そう尋ねれば、金原さんは唇をきゅうと噛み締める。
「あたし気性が激しいから。
揉めたりとかして、ある先輩に迷惑いっぱいかけたんだ」
僕はそこまでじゃないと思うけど……。
でもまぁ、人によってはそう捉えてくることもあるんだろう。
「だから、今までの気持ちを目一杯こめて、主役として送り出したい。
ありがとうと大好きをこめて、演技したい」