思春期シュガースター
彼女の瞳はやはり強く輝いていて。
僕の心を捕らえて離さない。
「藤田っていつも休み時間に読書してるし、本は好きだよね?
台本の読みこみを一緒にして欲しいのっ!」
お願い、と金原さんが頼んでくる。
僕はジャンルを問わず読むから、彼女よりはキャラの心情はわかるだろうか。
どうだろう。
金原さんの瞳をそっと見返す。
長い僕の前髪の隙間から覗いた彼女の必死な様子に、真摯な姿勢に心がざわめいた。
そして、彼女がここまで真剣に頼んでくる理由を思い浮かべた。
「その先輩ってさ、男の先輩だったり、とか」
嫌な予感がして。
口にしたくなどないのに、耐えきれず尋ねてしまう。
「え、よくわかったね!
そうだよ、演技中とかはね、かっこいいの! 表現とかすごい上手で憧れなんだ」
ああ、そんなの、もう決まったも同然じゃないか。
強い彼女を支えられる度量。
尊敬されるほどの技術。
彼女に「かっこいい」と称されるその先輩への感情は、いつ『恋』と名前がつけられるんだろう。
わからない。
わかりたくもない。