LJS〜ラブジャンキーシンドローム〜



「なァ、俺なら…

もう中毒なのにな…」




続いた言葉も、当然聞き取れなかったけど…

あまりにも切なげな姿に、目を奪われたまま動けなくなる。


その手は胸元を掴んでて、まだ肋骨が痛むのかと不安まで押し寄せる。



だけど奏曲は寂しそうな笑みで、"なんでもない"って風に首を振って、視線は解かれた。






その後、送りの車内ではいつも通りで…

敢えてそれを掘り返す事は出来なかったけど。



「ねぇ、奏曲の家…寄ってい?」

なんだかほっとけなかった。



「…明日も仕事だろ?帰って寝ろよ」


「そーだけどっ…

まだ一緒に居たいの!お願いっ!」


それに対して…
また哀しげに瞳を曇らせて、黙り込む。



もしかして迷惑?

確かに深夜だけど、奏曲は明日休みだし…
"いつでも来いよ"って言ってくれたよね!?


って、さすがに非常識か。
まぁ、不良自体が非常識だとは思うけど。



とはいえ、優しい奏曲は…

リクエスト通り、自分の家へと車を走らせてくれた。


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