先生、私じゃダメですか?


はぁとため息をついていると、
足音が聞こえてきた。

その足音は次第に大きくなっていき
私のすぐ近くで鳴り止んだ。


「大丈夫? 」


若い男性の声がした。


「ほら、傘に入って」


彼は私を傘に入れた。


彼に目をやると、
彼はニコッと笑った。


「君、名前は? 」


私は何も答えなかった。


「君の家はどこ? 」


彼は心配そうに私を見つめる。



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