先生、私じゃダメですか?


「あの、心配しなくて結構です」


心配なんて求めてない。

とにかく私に関わらないで。


「子供がこんな遅くに、繁華街にいるなんて危険だよ。だからーー 」
「こういうのお節介って言うんですよ」


私は彼の言葉を遮った。


早く早く……

向こうに行って。


そう願ったとき、
私の頭に何かが覆いかぶさった。


「とりあえず、それ着てなさい」


彼から渡されたのは、
茶色のコートだった。


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