先生、私じゃダメですか?
「吉野さん」
聞き覚えのある声。
聞こえないふり。
多分、渋谷だと思う。
きっと授業のことで、怒りに来たのだろう。
「吉野さん、聞こえないふりはなし」
「何ですか、先生」
案の定、渋谷がいて
少し怒った表情をしている。
「吉野さん、授業きちんと聞いてる? 」
聞いたとしても、
意味わからないから無意味。
多分、いや確実に
これを言ったら渋谷本気で怒りそう。
「テストまで、あと3日だよ。数学大丈夫? 」
「全然、大丈夫じゃありません」
渋谷はため息をついた。
「どうすんの…… 」
渋谷は困った表情を浮かべた。
そんな時、
私はいい考えを思いついた。