先生、私じゃダメですか?
鐘が鳴ったと同時に
ガラガラと音を立て渋谷は教室に入ってきた。
「皆んなも知っていると思うけど、再来週は林間学校がある。今からその係りを決めたいんだ」
林間学校……か。
「係りは、クラスで行くルート決めや当日のクラスのリーダーの役割りをしてもらう」
話を聞いて初めに思ったこと。
それは、面倒くさそう。
「出来るだけ俺も手伝うからさ、誰か係りを引き受けてくれる人いる? 」
渋谷も手伝う?
つまり、
会える時間が増えるし
話せるチャンスも増えるていうこと。
どうしよう?
そんな機会なんて、
そうそうないかも……。
「私、やります」
私は思い切って、手を挙げた。
最初はやる気なんてしなかった。
けど、
渋谷と話せるチャンスが
あると知った瞬間、気持ちは変わった。
渋谷と私は先生と生徒の関係。
友達とは違う。
だから、
話す機会なんて少ないし
”会いたい”
と思ってもすぐ会えるわけじゃない。
先生と生徒。
これは私にとって大きな壁。
こればかりは
どうにもならない。
だから、
少しでも話せるチャンスがあるなら
私は絶対、逃さない。