先生、私じゃダメですか?
「私ね、吉野さんと話してみたかったんだ」
佐伯さんは、
ぼんやりと外を見ながら言った。
「何で? 」
私のその一言に、
佐伯さんは目を丸くした。
正直言って、
私は友達なんていらない。
友達に合わせるのとか
何でもかんでも一緒というのが無理。
それに……
「吉野さんは私にとって憧れなの」
「憧れ? 」
予想外の言葉に、
思わず聞き返してしまった。
「うん。去年の秋頃かな?一人いじめられていて、助けたことあったでしょ? 」
私は頭をグルグルと回し
過去を振り返った。