先生、私じゃダメですか?


「私ね、吉野さんと話してみたかったんだ」


佐伯さんは、
ぼんやりと外を見ながら言った。


「何で? 」


私のその一言に、
佐伯さんは目を丸くした。




正直言って、
私は友達なんていらない。


友達に合わせるのとか

何でもかんでも一緒というのが無理。


それに……


「吉野さんは私にとって憧れなの」
「憧れ? 」


予想外の言葉に、
思わず聞き返してしまった。


「うん。去年の秋頃かな?一人いじめられていて、助けたことあったでしょ? 」


私は頭をグルグルと回し

過去を振り返った。

< 50 / 84 >

この作品をシェア

pagetop