先生、私じゃダメですか?
「私ね、そのいじめたグループにいたんだ。本当は助けたかったけど、次は自分がターゲットになっちゃうんじゃないかって不安になって動けなかった」
佐伯さんはうつむいている。
声は少し震えていた。
「そんな時さ、吉野さんが助けてにきてまるでヒーローみたいでさ。凄くカッコ良くて…… 」
「私はそんなんじゃない」
ヒーローとか私には不似合いだ。
私は誰よりも弱くて逃げてばかり。
友達を作らないのも、
過去に裏切られて
それが嫌だから
もう傷つきたくないから。
「吉野さんは、そう思っていたとしても私にとってはヒーローだよ」
佐伯さんは、
私の目を見てニッコリと笑った。