先生、私じゃダメですか?
「し、渋谷先生! 」
廊下を走っているとき、
前に渋谷がいるのが見えて
胸が高鳴った。
「よ、吉野さん? 」
驚いた顔をしている渋谷。
「この傘、ありがとうございました」
「全く…… 」
渋谷はそう言いニッコリと笑った。
「そんな慌てて返さなくてもいいのに」
違うよ、渋谷。
早く話したくて近くにいたくて……
「それと廊下を走ったら危ないだろ? 怪我しなかったか? 」
「こ、子供扱いしないでよ」
そう言ったけど、
本当は嬉しかった。