王子サマは料理人―コブタちゃんと双子さん―
ええ、もちろん!
そう答えようとしたのに口の中が乾いて、うまく声が出ない。
「……まっさかー。さすがにファーストキスはもうすませたよーっ」
とっさに出た声があまりにも明るい声で、自分で驚いてしまう。
「それはよかった」
トミさんは優しそうに笑った。その笑顔にとたんに落ち込んでしまう。
……ごめんなさい。嘘です。
それにしても思い出したらムカついてきた。
だって、わけわかんない。
いやたしかにかっこいい人だったけど、それとこれとは話は別じゃない?
一人考え込んでいると、前を歩いていたトミさんが急に止まった。
慌てて私も倣って止まる。
そこは、