33322
私は弓道部に所属していた。
もともと高校に入ったら絶対弓道部に入ろうって決めていて私は入部した。
彼こと、柿崎夏輝もそう。
去年の春、ひょっこりと弓道部にやって来て、ひょっこりと入部して、なんだかんだで私よりも上手くなって。
夏輝だって高校に入ってから弓道を始めたのにそんなにすぐに上手くなられると、こちらとしては良くは思わない。
その私の気持ちが表に出ていたらしい、私は最初の頃夏輝に思い切りガン飛ばしていたそうだ。(夏輝談)
それからわざとなのか、面白がっているのか分からないが、夏輝はよく私に話しかけてはちょっかいをかけてくるようになった。
「上原美琴さんですよね?俺一年の柿崎夏輝っていーます」
突然声を掛けられて思わずびっくりする。
「っ、何?」
「なんか、先輩っていっつも俺のことにらんでませんか?」
げ、やば。気付かれてた。
「そ、そんなことないと思うけど。気のせいじゃない」
動揺を隠しながら強気な態度で彼に言う。
「…そーすかね?…でも先輩は少なくとも俺の事好きではないですよね。」
「うん。そうだね。」
「結構バッサリ言い切るんすね。さっきガン飛ばしてないとか言ってたくせに」
「は?それとこれとは違うじゃん。意味わかんない」
「……プッ」
吹き出す彼。私何か変なこと言ったか?
突然笑い始めるってひどいやつだな。
「ー何よ!?何がおかしいわけ!?」
「あ、いやすいません、なんか矛盾してんなーって思って。」