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夏輝のことだから、なんだかまた軽くあしらって貰わないんだろうなと思ってた。
でも、夏輝は
「あ、買ったやつなら食べるーありがとうー」
「やったあ!夏輝くんが貰ってくれたー♪」
「あー、ずるーい!」
あ、れ、?
夏輝貰うんだ。あの子のは。
私はその場に立ち尽くしてしまう。
「あれ、美琴さんだ」
そんな私の事なんて知らずに平然と声をかけてくる夏輝。
「あ…、」
「美琴さんどうしたのー?俺になんか用?」
なんか用?今こいつ私になんか用?って言った?いっつもいっつも私に駆け寄ってきて、うざいくらいつきまとってきて、ちょっかいかけてくるあの夏輝が、なんか用?って言った?
「や、やっほー夏輝ーモテモテじゃんか!いいねー夏輝のくせに!!」
私が今考えていることを悟られないように笑い飛ばすような口調で夏輝に返す。
「いーでしょ。チョコ貰っちゃった」
「あー、はいはい良かったですねーモテる人は。私も義理だけど夏輝にたまたま、たまたま気が向いたからあげよーかなーって思ったけどそんなにたくさん貰ってるんじゃ、私のはいらないね。ばいばーい」
「…え?み、美琴さん!?」
私は1秒でもその場を離れたくて駆け足で逃げるように去る。
馬鹿じゃんか、私。夏輝はチョコ貰わないんだろうななんて、勝手に思って。勝手に貰ってるところを見て傷ついて。
訳わかんない。
悲しい。
苦しい。
夏輝が他の女の子と喋ってるのが嫌だ。
見たくなんかない、そんなところ。
なんで夏輝がチョコ貰ってるの、受け取ってるところを見て苦しくなるの。
なんでこんなにも悲しくなるの。
なんでこんなに泣きたい気持ちになるの。
なんで涙だけは勝手に流れてくるの。
ああ、そうか。
私はずっと夏輝のことが好きなんだ。
なんでこんなこと、今まで気づかなかったんだろう。
前からいろいろヒントはあった筈なのに。