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でも、好きだって気づいたからってどうしろと言うんだ。



夏輝に言う?



………。







無理無理無理無理!!





そんなこと言えるわけがない。



散々夏輝のことバカとかアホとか、ウザイだのなんだの言ってて、しまいに最初なんてガン飛ばしてたくせに今更好きだとか。




絶対に言わない、っというかむしろ絶対に言えない。そんなこと。



























私はそんな1年前のことを思い出しながら夏輝と電話をしていた。




ボーッとしていたのだろう、電話の向こうから夏輝が呼びかける。




『ちょっと、美琴さん?話聞いてます?てか今絶対に聞いてなかったでしょ。完全にループしてたでしょ。』




だからこいつはなんで分かるんだよ、やっぱりエスパーなの?




「ち、違うし!ちょっとボーッとしちゃっただけだし!!」



『やっぱりループしてたんじゃん』


「だから、ちょっとボーッとしてたんだってば!いーじゃん別に!!」



『俺と電話してるのに…。』


え、何その突然可愛いくなる感じ。


ずるい。反則でしょ。



『……この間の。』


この間?なんかあったっけ。


「この間?」



『美琴さん、廊下で告白されてたでしょ。』



なぜそれを!?



「えっ!?なんーーー」


『ったまたま!!たまたまそこ通りかかって!』



ああ、なるほど。



「あー、うん。されたね、告白。いやー、びっくりだよね、私なんかに告白してくれる物好きもいるんだねぇ」




『…………。』




あれ、なんか静かになった?どうしたんだろ夏輝。



「?おーい、夏輝ー?」



『ーーーっ美琴さんは!美琴さんは、そいつと付き合うの?』



「…へ?」



『だから、付き合うのかって聞いてるんです』



「ううん。付き合わないよ」



『え、そうなんですか?………なんだ、そっか…。』



「…もしかして、夏輝さ」


『はい?何ですか?』


「それ聞くためにLINEして来たでしょ。」



『…そうですけど。別にいいじゃん、何でも。』



『ってか美琴さんもそろそろ気づいてくれてもいいと思うんだけど、俺』


「…なにを」


『ああ、そっかー、美琴さんいっつもorange話すときケンカ腰ですもんね、』



え、何言ってるの、


『前よりは俺、美琴さんと仲良くなれたし、話せるようになったし、大分良くなったかなって思ってたんだけど。そう思ってたのって、俺だけだったみたいですね』




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