女子高生の私と不機嫌な若頭


「……杏奈……杏奈」


ん?……誰かが呼んでいる……
えっ?

私はいつの間にか眠っていた


『ご、ごめんなさい。眠ってしまって』


まさか眠ってしまうなんて……


「行くぞ」


それだけ言って車を降りる涼介さん


行くぞ?
ってか、ここはどこだろう?

そう思いながら車を降りると


『え……海の匂い……』


涼介さんが連れてきてくれたのは
静かな綺麗な夜の海だった



『……綺麗……』


海に来たのはいつ以来?
多分……お母さんがいた頃


『足だけ、入ってもいい?』


涼介さんに聞くと

「ああ、気をつけろ」


そう言ってくれた
私は嬉しくなって
靴を脱いで、海に走った
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