女子高生の私と不機嫌な若頭


『んー、やっぱり冷たい』


けど、久しぶり……
ワンピースが濡れないように
少し持ち上げて
波打ち際を歩く


『……静かだな』


波の音と少し強い風の音
何故か心地よい


「転ぶなよ」


私が振り返ると
涼介さんは私を追ってきてくれていた

車から結構離れてしまっていた


『うん、ありがとう』


そう思ってまた歩き出そうとした時
足に何かが当たった


ん?何かな……あっ!
それは綺麗な貝殻


その貝を拾ってみると
かけてもいない、汚れもほとんど無い


『綺麗……あ、持って帰ろう』


そう思ってまだ無いかと
足元を探していた時……


「杏奈っ‼︎」


涼介さんの叫びと共に
わたしの膝くらいの高さの波が打ち寄せた
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