女子高生の私と不機嫌な若頭
翔子さんは私の手を優しく握りしめる
その手は大丈夫だよって言ってくれてるみたいで、我慢していた涙が溢れ出した
翔子さんは私の横に座りなおし
私を抱きしめ背中をさすってくれた
誰かに抱きしめられるのも
背中をさすってもらうのも
泣くことさえ、久しぶりだった
「杏奈ちゃん…私に出来ることがあれば遠慮なく言って……」
翔子さんはとっても優しくて
暖かくて……いい匂いがした
翔子さんはゆっくり、私に質問をしてきた
「雄哉くんは、日中どうしてるの?」
『……保育園に……』
「ご両親は?」
『……父は多分、家に……母は知りません』