女子高生の私と不機嫌な若頭
翔子さんが居なくなって
どうしたらいいかわからず
その場を動けずにいると
「杏奈ちゃん、よろしくね」
声をかけてくれたのは
目のクリクリした可愛らしい人
彼女は美沙さんと言って二十歳
彼女に誘導され、衣装やアクセサリー
それと化粧と髪もセットされた
美沙さんは器用に鼻歌を歌いながら
ささっと終わらせる
「杏奈ちゃん、化けるね」
出来上がった鏡に映る私は
本当に私なのか、驚くほどだった
「これから少しずつ、自分でも出来るようにならなきゃね」
化粧なんて私には無縁だった
『はい……ご指導よろしくお願いします』
その日から美沙さんが私の指導係になった