女子高生の私と不機嫌な若頭



「……櫻井杏奈」



『はい』



卒業証書授与……
本当にこれが最後なんだと思ったら
涙が溢れそうだった


卒業証書を受け取り
席に戻る途中……視線が痛い
その視線の先には……涼介さん
涼介さんに気がつけば
涼介さんは笑ってくれていた


泣きそうだった私は
涼介さんを見るだけで元気になる
みんなにバレないように手を振ると
涼介さんも小さく手を上げてくれる


ふふっ……やっぱり可愛い
席に着くと、ずっと私の様子を見ていた
沙耶にツンツンと突かれた


「なに、イチャついてんの?」


『えっ?違う違う。ただ手を振っただけ』


「もぅ……なんなの。あんな若様も見た事ない……けど笑った顔も素敵ね」
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