月夜に悪魔
「バラン…君………、私…」
「何も言わなくていいから…」
バランが歩き出した
皐月はビクッと反応はしたものの、今度は近付くことを咎めなかった
「大丈夫…だから」
バランの目もいつもとは違った
特別扱いはない
1人の女として皐月を抱き締めた
「バラン…君」
「ごめんね…すぐやめるから……少しの間だけ」
今にも壊れそうな皐月を抱き締める
そっと…そっと……
皐月はじっとしていた
バランが皐月を見る目が変わったことを知らずに
ただ、純粋に【バラン君】として受け止めていた
この感情はわからない
だけど、すごく暖かいものだということはわかった