月夜に悪魔
「じゃあ行こうか皐月ちゃん」
「うん」
やっとこの部屋からでられる、解放感や喜び、不安………
そっとドアに手を掛ける
いつもは鍵がかかって開かない扉がすんなりとキキ…という音をたて開く
足を一歩踏み出す
心地好い風がそっと横を通り過ぎる
あの部屋からは生まれて始めて出た
初めてみるキッチン、私の部屋に設置されているトイレや風呂場とは違うタイプの物
電話や冷蔵庫
ただ、だれでも普通に見れる物が珍しい
今、生まれたばかりの小鳥のように
止まっていた時がゆっくりと動きだす