月夜に悪魔



「おいしかった♪」


「そう、良かった。ごめんね…これが最初で最後の家族での外食だから」

「最初で最後?」



「気に…しないで」


お母さんの顔がだんだんと悲しみの色に染まっていく



今にも涙がこぼれそうで

なんでそんなに悲しむの…?



私はここにいるよ。お父さん、お母さんのそばにずっといるから


だからなかないで…?



「……泣いたらダメだよ。皐月がいるし、ここはファミレスだしね」



「あなた……」


他人から見たら変な悲劇親子みたいだ


なんだか少し恥かしい


「…帰ろっか、皐月」



お父さんは泣き崩れているお母さんを支えながら会計をすませた



それから車に乗り、家へと向かった






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