月夜に悪魔
「あった…ね」
お父さんが驚いた顔をする
「ほらね!あるって言ったでしょ!イチゴ味のケーキ!」
「これ、娘の誕生日ケーキにしていただきたいんですが」
お父さんが店員さんにケーキの注文をする
「あら!お目が高いですね!これは昨日入荷したばかりなんですよ」
「奇跡…かな」
お父さんはそっと私にウインクをした
「じゃあ包みますね、ロウソクは何本にいたしますか?」
「15本で」
「では誕生日の方のお名前は?」
「皐月です」
「良い名前ですね」
「はい、自慢の名前です」
私がそう言うと店員さんはクスッと笑ったが、お父さんは苦笑いだった