月夜に悪魔



「明日、このケーキを食べるの?」



「そうだよ。明日までの我慢だね、絶対に食べちゃだめだよ」


「うぅ、待ちきれないよ!」



本当にそのケーキは美味しそうだった



私とお父さんは車に乗って家に帰った



家に帰ると珍しくお母さんがいた


「お帰りなさい、皐月ちゃん。そのウサギ買ってもらったの?」



「そうだよ」


袋が透けていたみたいで、お母さんがウサギだとわかっていた




「エメラルドグリーン…」



お母さんがポソッと呟いた


「もう、明日なのね」


「皐月の誕生日は明日だよ?」


私が言った



「そう…ね、明日よね。それはどうあがいても変わらない現実なのよね」


「お母さん?」



お母さんは私の誕生日を祝ってくれないの



それじゃうれしくないよ…


それじゃ幸せじゃないよ……?





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