月夜に悪魔



自分の部屋に戻るために廊下をコツコツと音をたてながら歩いた


本当にバランの家はひろいなぁ…



私はあらためて実感していた


「あ、七瀬君」



私の部屋の前に七瀬君が立っていた


「どうしたの…?」



私は七瀬君に歩み寄った

「バランと仲直りできたか?」


七瀬君が聞いてきたが、ふとバランから言われてた事を思い出した


【フィートにあまり近寄らないようにね。胸が痛いから】



私はゆっくりとあとずさった


「…………なんだよ」



七瀬君が私の異変に気付いたのか、違う質問をしてきた



「バラン君が近寄らないようにって」


「……なんで?」



七瀬君が少しイラついた声でその理由を聞いてきた




「胸が…痛いからって」


「………」


「そういうことだから、皐月部屋に入るね」


私は部屋に入ろうとした



七瀬の頭の中ではバランの質問が繰り返されていた



【好きになるなよ?】


「好きになんかなるなかよ…」




「ん?どうかした?」


私はドア越しに聞いてみた



【好きになるなよ?】


「……………っ」



バンッと勢いよく扉が開けられた


「なな七瀬君っ!?」



「黙れ」


そう言って七瀬君は私にそっと唇をおとした





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