tear/skill
タクシーをとばして病院に着くとパトカーと野次馬
屋上に人影
悠真だぜったい
私は野次馬をかきわけて黄色いテープをくぐろうとした
「部外者はさがって」
私はなにを言ったかわからないけどなんとかかいくぐって屋上まで行った
「悠真」
「あーあ来ちゃった」
「ダメぜったい」
「じゃあな」
悠真はフェンスの向こうでふっと笑って 暗い闇夜に身を投げた
慌ててフェンスを跳び越え手を伸ばしたが悠真が手を伸ばしてくれず空をきる
私は怖くて下を見れずにいた
ただその場で泣き崩れていた
救急隊の人が救急車まで案内してくれて肩に毛布をかけてくれた
「悠真は?」
そっと救急隊の方に訊いた
治療をしているが助かる見込みは限りなくゼロだそうだ
絶望感に打ちひしがれながら私は祈った
こんなの望んでないよ
少なくとも私は望んでない
いつもみたく喋ってよ
病室のベッドの上
顔は綺麗なまま眠っていた
「あの」
「あっごめんなさい」
「あの子の友達?」
「はい」
誰だろう?もしかして悠真の母親?
「なんで···こんなことに」
私が原因なんて言えない
「悠真」
私の中のヒステリックな感情が暴れ出しそうになるのを必至に手に爪をたててとめた
もうここにいたくない
とぼとぼと璃玖の待つ病室に
「どうしたの?」
「璃玖どうしよう
私、人殺しになっちゃった」
「影沼先輩のこと?」
「私のせいだ」
「後悔してもしょうがないよ」
「違う璃玖じゃない璃玖はそんなこと言わない」
「本当に?
知らないだけでしょ
知ろうともしなかったくせに」
璃玖は私をみてない
璃玖はあたりまえのことを言ってるだけだ
手のひらを返したように璃玖が優しく言う
「こっちにおいで」
「いかない」
「君がどこにもいかなくなったから良かった
正直ほっとしてる」
璃玖?
「おかしいよ···
それじゃあまるで悠真を誘導したみたいに言ってるじゃん(助けて)」
呼ぶなよ俺を
悠真の声···
私は朝の病院を駆けながら悠真の病室に逃げこんだ
「悠真···おきてよ目を開けてよ
ごめんねごめんね···」
悔やんでも悔やんでも悔やみきれない
私は何度も謝り続けた
「うる···せぇよ」
酸素マスク越しくぐもった声がする
「悠真」
「陽菜?」
「いまさら都合よすぎるね謝るよ
でも今はそばにいてほしいのお願い」
「あの時おまえまで落とさなくてよかった」
悠真が手を掴まなかったのは私も一緒に落ちてしまうからだったんだ
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