tear/skill
いちいち言ってることが理屈くさくて卑猥
顔は可愛いのになんか残念
「とらないよね」
タバコを吸いながら勝ち誇ったように言われて言葉がでなくなった
私はメニューに目をおとしながらあれやこれや頼んでみることにした
「燈真は好き嫌いある?」
いちおう訊いとかなきゃ
「特にないけど」
私は店員さんに注文をした
注文が終わって一息ついていると声がした
「陽菜」
うそ···
大学の女友達が手を振っていた
パタパタとかけてきて私たちの席に強引に割り込む
「陽菜にゃんだ~れこのかっこいいお兄さんは」
「あっえっと」
にっこりと燈真が笑う
「影沼悠真の弟の燈真です」
「ちょっと燈真」
燈真はタバコを消すなり急に人懐っこい性格を露にしてきた
「なに飲む?とってこようか」
「あっじゃあ私メロンソーダ」
「私アイスティ」
「ちょっと待っててね
陽菜は?」
「私は大丈夫」
燈真が行ってしまうとやっぱりざわついた
「かっこいい」
「そう?」
「かっこいいよ陽菜、目でも悪い?」
「でもひどいよね夢も希美も
なんでこっちに来るかな」
「またそうやって独り占め陽菜の悪い癖だぞ」
「独り占めなんてしてないし」
そこまでいいかけて燈真が戻ってくる
「はーいかわいこちゃんたち」
バカみたいみんなにちやほやされるのが好きなんだ
私は頼んだ料理を摘みながら思う
私ひとり蚊帳の外で燈真はちやほやされながら話している
「いいかげんにして」
私はいつの間にかバンとテーブルを叩いていた
「いいかげんにしてよもう」
「陽菜?」
「いいから帰ってよ
もういいでしょ」
「陽菜にゃんはヒステリックなんだから」
むかっそういわれるのがいちばんキライなのに
「陽菜どうしてそうやって人を遠ざけるの?」
燈真が笑いながら言う
「遠ざけてなんてない
燈真が話しがあるって言うから」
「ったくガキはどっちだよ寂しがりな子猫ちゃん」
燈真はにこやかに続けた
「ごめんね~なんつうか陽菜がご機嫌ナナメになっちゃったからバイバイでもいい?」
夢と希美は渋々うなずいてくれた
「燈真なんでそういう態度をとるのよ」
燈真はタバコをくゆらしながら聞いてくれてない
「別に」
燈真の手が料理に伸びる寸前で皿を少し動かす
「ちゃんと聞いて」
「ったく」
「私は燈真と話しがしたかったの」
燈真はピザをうまく口に入れると言う
「俺と話したかった?」
「悠真のこともっと知りたい」
「悠真兄のこと?」
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