tear/skill
どうして涙がとまらないんだろう
部屋の隅、膝を抱えてうずくまる
私はどうしたいんだろう
いつの間にか眠ってしまっていた
朝の光···
ヤバい今日、大学の講義じゃん
単位おとしたらヤバいよヤバい
気になってつけたテレビでは車が路上に突っ込んでというニュースと病院で暴行事件の2つが取り沙汰されていた
病院のほうはお偉いさんが建て前だけの謝り方をしていて車の方はなんだかよくわからなかった
とりあえず支度をしてバス停に向かった
バスに揺られて終点の駅前まで行き今度は電車に揺られる
電車の中で声がした
「陽菜おはよう」
なにを思って私なんかに陽菜なんてファンシーな名前をつけたんだろう
「おはよう」
「ニュース見た?」
メイドのような波瑠のほうが私のような名前が似合うのに
「見たよ一応」
「璃玖くん大丈夫?」
「うん、まあ」
「それに影沼先輩も」
はい?いまなんて?
「誰それ」
「あっそっか陽菜は知らないよね、あんまり講義でてないから
影沼悠真先輩、すっごくかっこいいって噂なんだよ
私も見たことあるけど超イケメンだよ」
悠真ってうちの大学に通ってたの
「···」
「どうしたの陽菜?
「なんでもない」
「あっでも影沼先輩たしか怪我してて今は来てないんだっけ」
「やっぱり」
「知ってるの?
あっでも彼女いるって専らの噂だし」
だよね悠真かっこいいもん
そうこうしてるうちに電車が目的地についた
大学の講義めんどくさいなぁ
「じゃあ陽菜頑張って」
「うん」
波瑠と別れて講堂に入る
さっそく講義が始まったけどめんどくさい
ふわっと欠伸をしてみるが誰も気づかない
退屈な講義も終わりまた電車に乗って病院に向かう
私は璃玖の病室に向かう前に悠真の病室に向かった
確かにネームプレートは影沼悠真になっていて私はそっとネームプレートをなぞった
「新手のストーカーかなにかか?」
頭一つ背の高い悠真の声が後ろからする
「悠真」
「なに?つーかそういうの幻滅だわ」
私また余計なこと考えてた?
「大丈夫?」
「本当にそう思ってる?」
「思ってるよ」
「めんどくさ
おまえも変わんないのなそこらの女子(やつ)と」
「えっ?」
「好きになったんだろ俺のことバレバレなんだよ」
「違う」
悠真なんで怒ってるの?
いつもみたく楽しく話しがしたいよ
「どいて」
「なんで無視するの
私の心よめるんでしょ」
「今はよみたくないんだよ疲れるから」
バタンとドアの閉まる音
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