tear/skill
どうして怒ってるの?
私なんかしたかなぁ
わかんないよちゃんと答えてよ···悠真
ガンとドアが突然開いて背中を思いきりぶつける
「イタタ···もうなんなのよ」
「まだいたのか?」
「明日もちゃんと話すって言ったのに」
「おまえなんなんだよ」
「わかんないわかんないよそんなの」
グチャグチャでわかんない
「璃玖はいいのか?」
「えっ···?」
「おまえ言ってたろ
好きだったの?って」
「よまないでよ」
「イヤでも聞こえたんだ悪かったな」
私、無意識に悠真を傷つけてた?
気持ち悪いって軽蔑してた?
「ごめん」
「別に慣れてるからそんなの
ちゃんとケジメつけてこいよ
じゃないとどうしていいかわからない
やっぱりおまえに話かけるんじゃなかった
間違ってたんだ」
夏はまだ終わらない
外から聞こえる蝉の声
沈黙、私はなにも言えなかった
バタンと閉められたドア
とぼとぼと璃玖の待つ病室へ行った
「璃玖」
揺れる気持ち···
私はなにを思ったんだろう計器を床に叩きつけていた
もういいなにもかも壊れちゃえ
もうイヤだ
暴れる私を背中から抱きしめる
「なにやってんだよ」
悠真?なんでいるの狡いよ
松葉杖が落ちる音
「···」
「おまえ最悪だよ本当」
ナースコールを押そうとした悠真の手をはねのける
黒い私
もういいや
もういい
もうイヤだ
悠真ごめんね···
悠真が松葉杖を拾う前に私は松葉杖を蹴り飛ばした
「ったくおまえは」
「来ないでよ、近づかないで化け物」
言っちゃった
悠真が目を見開いた
でも何事もなかったかのように松葉杖を拾いナースコールを押して部屋を出て行ってしまう
そのあと怒られたのは言うまでもなく
出禁にまでされてしまった
当たり前
私はロビーの待合室のソファーに座ってため息をついた
「陽菜」
「波瑠どうしよう」
「どうしたの?」
波瑠に今までのことをぜんぶ話した
「···私きらわれたよね」
「なんでそんなに暴れちゃったの?」
「なんか突然どうでもよくなって」
「影沼先輩のこと好きなの?」
「うっ···」
「影沼先輩には彼女がいるんだから」
「わかってる」
波瑠の言うとおり忘れなきゃ
「つーかなにやってんだ
化け物ね悪くない」
どうしてこうも神出鬼没なんだろうこの人
「あっありがとうございます」
波瑠に飲み物を手渡して私にはなにもなし
「お前は罰な」
「うっ···」
しょぼくれた私に手渡されたのは飲みかけの飲み物
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