擦り切れてしまった女性の場合
 不快な気分にならず、自然と目が覚めた。
 そうだ、今日は休みだっけ。
 カーテンを開き、ベランダの窓を少し開けると、そこには赤い夕日がまさに沈もうとしているところだった。
 その景色は、別段珍しいものではなかったが、今日は少しだけ様子が違った。
 下の、住んでいるアパートからそう離れていない商店街の方面から太鼓のような、何か祭でもやっているかの、そんな音がした。
 携帯を操作してカレンダーを確認してみる。
 そうか、盆踊りか。
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