擦り切れてしまった女性の場合
3
何処からかひぐらしの声、隣の部屋のベランダに吊るされている金属製の風鈴の音色。
そして、突然の爆発音。
その音に驚いて、私は霧散していた意識を集中させ、寝ころがった体勢のまま、ベランダの外に目をやる。
花火だ。
何発も打ち上げられる色とりどりの花たち。
小さいのから大きいの、何かを模したもの、たくさんの、本当にたくさんのもの。
ふと、気がつくと私は涙を流していた。
花火に感動した。というわけではないと思う。
では、何か。
何だろう。
感情の渦が、私の胃袋の少し下辺りでぐるぐると消化不良を起こしている。
その中に手を差し込んでみるが、そこから拾い上げることが出来た感情は、何も無かった。
いや、小指の先ほどの寂しさ、だろうか、それに似た何か、を拾ったような気がする。
そんな、気がする。
「おやすみなさい」
声に出して、ゆっくりと目を閉じる。
涙は拭かない。
目覚ましも、かけない。
そして、突然の爆発音。
その音に驚いて、私は霧散していた意識を集中させ、寝ころがった体勢のまま、ベランダの外に目をやる。
花火だ。
何発も打ち上げられる色とりどりの花たち。
小さいのから大きいの、何かを模したもの、たくさんの、本当にたくさんのもの。
ふと、気がつくと私は涙を流していた。
花火に感動した。というわけではないと思う。
では、何か。
何だろう。
感情の渦が、私の胃袋の少し下辺りでぐるぐると消化不良を起こしている。
その中に手を差し込んでみるが、そこから拾い上げることが出来た感情は、何も無かった。
いや、小指の先ほどの寂しさ、だろうか、それに似た何か、を拾ったような気がする。
そんな、気がする。
「おやすみなさい」
声に出して、ゆっくりと目を閉じる。
涙は拭かない。
目覚ましも、かけない。