ネットとリアルと半分こ
「松山君!松山君!」

無邪気な笑顔を見せるこの子は
僕の唯一の友達、金井君。

「あ、金井君!」

僕が小学校で初めて出来た友達。
彼は5年生の時に転入してきた子だ。
僕はこの頃から少し虐められていた。
だから金井君はあまり
よく思われていなかった。

そんな平和な日を過ごしていたとき。

「よぉ、松山。お友達、来ねぇなぁ?」

「そうですね…どうしたんでしょう…」

僕はもう知っていた。
藤塚君が彼を虐めていたこと。
僕より何倍も酷いいじめだったこと。
不登校になるよう命じたこと。
学校に来させないよう恐怖を
植え付けて置いたこと。
そんなに僕を虐めたいのか。
そんなに僕が苦しむとこを見たいのか。
僕はめげない。
いつかまた笑顔の金井君が来てくれるから


「でさぁ、金井君?首吊ろうとしてたらしいよー?ギリギリ生きてる…っぽいんだけどぉー植物になったらしーよ?」

「えっ……!?本当…ですか…?」

「そーらしーのー俺聞いたぜー?」

この嫌みったらしい言い方は藤塚くんの特徴である。僕はもう慣れていた。

「そう…なんですか…ありがとうございます、教えてくれて。」

「へー?友達が死にかけてるのに感謝するんだー?」

「いや、藤塚くんの気遣いに感謝させてください。こんな僕じゃ嬉しくないと思いますが…」

「ハッ…気持ち悪い。」

「ごめんなさい…。やっぱ僕ってダメなとこ多いんですよね…。」

「だぁ、もういいよ。金井君、

死んじゃうかもね。」


早かったなぁ…彼とは会って2週間くらいかな。2週間でも楽しかったなぁ。
最後くらいお見舞いに行ってあげようかな。
僕は非情だと言われやすい。
そんなことはわかっている。
だけど感情を持つほど失ったときの
僕の感情が大きく膨張してしまう。
それが爆発したらいじめが…
今より酷いものになる。
そっちの方が嫌だ。

もう放課後か。
金井君の病院どこなんだろ。
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