漆黒の破片
「あ、これ。奈々さんが落とした指輪
です。」
隆弘は私に指輪を渡してくれた。
指輪にはNana&Takahiroと彫ってある
それより隆弘が奈々さんって呼んだことに違和感を感じた。呼び捨てじゃないよね。やっぱり……
「ありがとう。た、隆弘君は誰かと一緒に来ているの?」
あんまり聞きたくなかったけど尋ねてみた。
「あ、はい。弟と来てます。ってなんか
敬語っておかしいですね。」
「うん敬語やめよ?同い年なんだし。」
隆弘との距離を感じちゃう。私のこと
本当に忘れているんだなぁ……。
そう思うと胸がギュッと締め付けられる
ような気がした。
「お兄ちゃぁぁぁーん!」
向こうの方から聞こえてきたのは聞きなれた声で懐かしく感じた。
「輝琉!どこ行ってた「奈々ちゃん!」
隆弘の声を無視するように輝琉君が
私に駆け寄ってきた。
癒しだなぁ……こんなに可愛いの!
「輝琉君久しぶりだね!元気だった?」
「うん!元気だったよ!あのね、
奈々ちゃん。」
急にモジモジと下を向いて声が小さく
なっていく輝琉君。
「どうしたの?」