解放の本
昔、太部は他の町の人々からあまりよく思われていなかった。昔から、何故か罪を犯す奴らが多くてねぇ……

太部に住んでいるってだけでいじめられることもあった。

まったく、酷い話だよ。でも、ほかの国から来た猪野飛(いのとび)っていう一族がここを治めるようになってからはそんなことは無くなった。

これで太部は平和になったと思ったんだけどねぇ……見和さんの様子がおかしくなっって……

見和さんは猪野飛の一族の跡取りで優しい子だったんだよ。いつも太部に住んでいる人の役に立ちたいといっていた。

でも急に態度が冷たくなって、そのあとは誰にでも暴言をはくようになった。

それで皆に怒られて、傷ついてしまったのか部屋に引きこもるようになった。さすがに怒りすぎたかなぁと、皆は反省して見和さんの部屋に行って謝りに行ったんだ。

最初は部屋の前に人が来ただけで怒っていた見和さんが、急に部屋に入ってと言い出した。

何人かは見和さんの言う通り部屋に入った。そして、

行方不明になった。

行方不明になった人について何か知らないかと聞くと、

知っている。そのことについて話すから部屋に入ってきてほしいと言った。

その時入った人も行方不明になった。

やっぱりこの事件は見和さんが犯人だという人が出てきた。その人たちは見和さんの部屋に行った。そして、部屋のドアを壊して中に入った。

部屋の中には何故か注射器や瓶が大量にあったが、行方不明になった人はいなかった。

その後見和さんが、病気にかかっている人がいると言ってその人たちを隔離し始めた。

でも、その人たちは病気にかかっているようには見えなかった。美和さんは病気について何も教えなかった。

病気のことについて何も知らないのに隔離するのはおかしいと言って抵抗した人は、ロボットに連れて行かれた。泣いている子供も、怯えている人も、無理やり連れて行かれたんだよ……

こうして、住民は全員ロボットに連れて行かれた。

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