解放の本
部屋の外に出て、廊下を歩いていると階段を見つけた。階段には、赤い絨毯が敷かれている。

この塔の最上階までどれぐらい階段を上らなければいけないのかな……外から見た塔は結構高かったから、きっと最上階に着くころには疲れてへとへとになっているんだろうな……


「しんどーい……疲れたー」

やっぱり私は疲れてへとへとになった。それでも、最上階についたので、後はこの扉を開けるだけだ。

「えいっ」

重い扉を開けると、そこにはベッドに寝転がっている女の子がいた。

「ぎゃあぁ!どっ泥棒!」

「誤解です!あっでも不法侵入しちゃってるな……」

「あんたもあの医者とおんなじところに入れてやる!」

女の子は私の腕を引っ張って、放り投げるように部屋に入れた。

「痛い……」

確かに不法侵入は悪かったけれど、泥棒と呼ばれるのは腑に落ちない。

「それより、見和さんどこ?」

部屋には私以外にも人がいる。この中に美和さんがいるかもしれない。

「さっき凄く怒ってた人が見和さんだよ」

その声は……南天さん!?

横に南天さんがいた。まさかこんなところで再会するなんて……

「あの人が見和さんだったのか……」

会ったのに何もできなかった。もっと、作戦とか立てればよかったかな……

「ももこ、見和さんのこと知ってたの?」

「はい」

「そっか。じゃあ、皆を助けるのに協力してくれる?」

「もちろんです!」

後悔している暇はない。今、私にできることをするんだ!

今ならできる気がする。ちょうど、青も部屋に入れられたからね。

「この俺が負けるなんて……」






















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