解放の本
「あそこの人、太部にいくのかな」

金髪の長い髪の女の人が坂道を降りている。あの人についていけば、桃子にあえそうな予感がする。私の予感はよく当たるのだ。

「あら、あなた太部に行くの?」

女の人は振り返って、私に聞く。

「はい、あそこに友達がいるんです」

「そうなの。でも、行かないほうがいいわ」

そう言われても、私に帰るという選択肢はない。今太部に行かないと、大変なことになる予感がする。

「でも、行かないといけないんです。きっと、桃子が私を必要としている」

「私が止めても無駄ね。私はオレガノ・カルバクロール」

カルバクロール……まさか、あの病気を治せる魔女の……

「私は幡野 笑莉です」

桃子を助けられるという予感も、多分当たりそうだ。

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