解放の本
「まさか、あのときの軍人の……」

「今は神のために動く者ですがね」

仄矢は持っていた槍を速度の本に向ける。

「消えて頂きます」

「速さで私に勝てると思ってんの?」

仄矢は目にも見えない速さで突く。しかし、速度の本の魔力には勝てない。

「動くのを止めないなら……」

光っている宝石の欠片を速度の本に飛ばす。宝石の欠片たちは速度の本を囲み、そして刺した。

「なるほど……数で勝負するわけね……」

「次であなたは消えるでしょう。その前に……」

次の攻撃で使う宝石を用意しながら仄矢は言う。

「あなたたちに願った人は誰なのか言ってください」

「嫌だね。嫉妬の本、他の3人を消しとけ!」

「はあ……人使いが荒いわね……」

嫉妬の本は黒く禍々しい玉を創り出す。

「止めて!」

私は嫉妬の本を何とかして止めようとする。

「桃子!」

紫陽花さんが私の名前を呼ぶと、速度の本が

「嫉妬の本!もうそいつらになにもするな!」

と、言った。

「どういうこと!?」

「桃子に何かすると解放とか解明が面倒だ」

嫉妬の本が、無駄なエネルギー使ったわ……と呟いて本を閉じる。

「じゃあな!」

速度の本と嫉妬の本は姿を消した。本から願った人を聞けなかった。
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