解放の本
「嫉妬の本がいたということは、嫉妬した音子が……」

花鳥さんは反論しなかった。私も音子さんが願ったと思う。

「えっ集会!?」

仄矢の手に白いハトが乗っていた。仄矢は紙をポケットに入れてから

「ごめんなさい。今急に連絡がきて……天界に行かないといけなくなりました……」

と言った。まだ仄矢に聞きたいことがあったし、調査もいいところまで来たところなのに……
でも、仄矢は急いで行かなければいけないみたいだし……
私は仄矢を見送る時、疑ってごめんなさいと心の中で言った。

音子さんの家の前に来て、音子さんが家に入れてくれないかもしれないという問題が出てきた。

「確かに、音子は用心深いから知らない奴は家に入れないなあ」

桃子ちゃんはまだ子供だから音子もそこまで警戒しないと思うよ。そう書かれたメモを見て、紫陽花さんはまあ何とかなるかと納得してしまった。

呼び鈴を鳴らし、音子さんが来るのを待つ。

「はーい。紫陽花さん!花鳥さんも!?」

音子さんは花鳥さんを見ると顔を赤くして目をそらした。そして、今日はどうしたんですかと聞いた。

「実は花納(かのう)が仕事を辞めることになった。だから、アルバムを作って渡そうと思うんだ。花納が写っている写真を持っていないか?」

この話は家に来ても怪しまれないように、そして時間稼ぎのためについたうそである。私はアルバム作りを手伝う紫陽花さんの親戚の子という設定だ。

「持っていますけど探すのに時間がかかるかもしれません……中に入って待っていてください」

音子さんの家の中に入れた。音子さんは引き出しから写真を出し探す。作戦通り、紫陽花さんはトイレに行くふりをして音子さんの部屋を調べに行った。私と花鳥さんは写真の配置を考えるふりをしてリビングを調べる。

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