解放の本
「写真、これで全部だと思います」

「ありがとう」

15分くらい経って、写真が集まった。

「遅いですね紫陽花さん。見てきた方がいいかな」

音子さんがトイレに行こうとする。どうしよう、紫陽花さんがいないことがばれる!

「紫陽花さん!どうしたんですか!?」

音子さんがトイレのドアの前で呼びかける。

花鳥さんがドアの隙間に部屋を出ろと書いた紙を入れる。私は紫陽花さんが部屋を出るところを見られないようにしなくちゃ。

「あ~!G!」

Gとは、例のあの虫である。音子さんは私が指差した方を見る。

「うっ逃げられた。どこにいるのかわかりません」

紫陽花さんが部屋を出たらしい。紫陽花さんは、どこで手を洗うのかわからず彷徨っていたということにした。




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