月明かりの下
断るに断れず、民宿の中に招かれた私は、不思議な気分で窓枠にかけられた風鈴を見つめていた。
おじいちゃんがお茶を持ってやってきた。

「古ぼけた民宿でビックリしただろ? 話と全然違う??」
「いや…え…あのぉ」
「そろそろ夏本番だろ? 増えるんだよ、客がさ。昔はさ体力があったから、なんとかこなせてたんだけど、どうも歳とってしまってねぇ。息子もろくに手伝ってくれないし」

「…はぁ」

「で、いつから来れそう?」
「…はい?」
「いつから来れるか聞いてるの」
「いや…あの…私。そうじゃなくて」
「夏休み、いつから?」
「ら、来週から…です」
「じゃ、決まりだ。来週から待ってるよ!」


「え〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!! (°∇°;)!!」


こうして私は、ダンススクールを探しに行ったつもりが、なぜか民宿でバイトをすることが決まってしまった。

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