月明かりの下
「ナ…ルナ? ねぇ聞いてる?」
「…え?」

「通信中でしたか?地球外生物と。そんな機能ついてんの? あんたの身体」
「ゴメン…で、なんだっけ?」
「DVD観た? フォーラバの。最高でしょ?」

恵理のいうフォーラバとは、恵理が最近ハマっている、『For Lover』というダンスユニットのことだ。

そのフォーラバのライブDVDを借りていて、私は家に帰ると一人、見よう見まねでフォーラバのダンスを独学で踊っている。唯一、自分が自分でいられる楽しい時間だ。

「ゴメン。まだ観てないや」

一人部屋でダンス踊ってるなんて、恥ずかしくて言えない…。

「観てみてよ! サキちゃんのダンス、ハンパないから。チョ〜ライブ見てみたいけど、こんな田舎町じゃ…ねぇ。お金もないし。行ってみたいなぁ、東京」

「うん…帰ったら観てみるね」

フォーラバのメインダンサーのサキちゃんに私も憧れていていつかは、あんなふうに躍って自分を表現したいといつも夢見ている。


なにより…

かっこ良くなりたい!

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