独りの世界に囚われた女性の場合
 手首から滴る血を眺めていた。
 カーペットに滴り落ちて、赤い水玉の染みを作るが、そんなことは関係無い。
 紅く、ひたすらに紅く、私の身体を流れているそれは、カーペットを紅く染めていく。
 この紅色だけが、今の私の空虚な心に、安心をくれる。
 この紅色が、
 私の中に流れているこれが、全て無くなったのなら、私は、あの人のところに、
 「いけるの?」
 返事は聞こえてこなかった。
 空虚さと静寂が雰囲気だけで返事をするだけ。


 苦しい。


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