独りの世界に囚われた女性の場合

 朦朧とした意識の中で、辛うじてセットしておいた携帯のアラーム音が、沈んでいた私の意識を現実に繋げた。
 もう時間だ。
 ついさっきまで夢を見ていた気がする。
 どこか懐かしい感じのする、誰かとどこかを歩いている夢。
 他にも一緒に何かをしていた気がするのだけど、霞がかかったかのように上手く思い出せない。
 外はもう夕日のオレンジ色に染まりきっていて、少しの雲と夕日のコントラストがあまりにも美しくて、窓を開け、風に当たるとその風もどこか心地よい。
 少し気分がよくて、鼻歌なんか歌いながら、私は着替えた。
 口ずさむ歌は、昔の私が大好きだった歌。今はそんなに好きではないけど、それでも。

 そして、それは恋を歌った歌。

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