独りの世界に囚われた女性の場合
 部屋の鍵をしめて、私はまた「皆」のいる世界に放り出される。
 バイト先に着くと店の外にある自動販売機が低い溜め息を漏らす。
 それは、有名な飲料メーカーを強調するための電球が所々切れかかっていて、あまり調子は良さそうに見えない。
 私が来たのがそんなに嫌なのだろうか。
 まあいい、私はそれと似たような溜め息をを一つすると、店に入り、仕事着に着替えた。
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